平戸市田平町の地域墓地にて、阿翁石の大名墓の金箔入れ、クリーニング等のメンテナンス
長崎県平戸市をはじめ、松浦市、波佐見町など長崎県北部で墓石のお仕事をさせていただいております、中村石材工業の中村です。平戸市田平町の地域墓地にて、お墓の金箔入れ、クリーニング等のメンテナンス工事をさせていただきましたので、ご紹介いたします!
平戸市田平町 阿翁石のお墓 洗浄金箔入れ
今回のお墓は、平戸市田平町にありました。田平町は平戸大橋のすぐ近くにある地域です。以前お世話になったお客様からご紹介くださり、ご縁をいただきました。ご紹介誠にありがとうございます。
現地でお客様とお会いし、お墓の状態を確認しました。とても立派な大名墓です。石自体はとてもきれいで、日頃から大切にお掃除されているのがよく分かりました。お客様は、昨年亡くなられたご家族様の初盆を前に「お墓をきれいにして迎えたい」とご希望でした。
具体的には、はがれてしまった金箔の入れ直し、お墓全体の洗浄クリーニング、傷んだ目地の補修をご依頼いただきました。初盆や法事といった節目にあわせて「お墓をきれいにしたい」というご相談は非常に多くいただきます。戒名を彫刻したときにあわせてご依頼いただくことも多いです。
工事の様子です。全体の洗浄が完了したあと、現地で金箔を入れる作業に入りました。金箔は非常に薄く、少しの風でも舞って飛んでしまうため、このように大きな布で墓石全体を覆い、風を防ぐための囲いを作ります。手前の脚立に乗って、この布の中に入って作業をします。工場に持ち帰っての作業となると、墓石の取り外しや据え付けなどに大きな費用がかかるため、現地で行うことでお客様のご負担が少なくなるようにしています。
金箔を貼る作業のようすです。きれいに洗浄をして汚れや残っていた塗料をきれいに取り除き、まず下地となる「カシュー」という特殊な塗料を塗布します。その乾き具合を慎重に見極めながら、金箔を一枚一枚、筆などを使って丁寧に貼っていきます。
こちらは、棹石の前にある扉部分の作業風景です。大名墓によく見られる装飾で、細かな彫刻にも金箔を貼ります。
金箔を貼り直しました。蓮の花の彫刻です。輝きを取り戻しました!
その後、仕上げに特殊なコーティングを施しました。こちらのお墓は、地元で採れる阿翁石(鷹島石)で作られていました。金箔を貼り直しただけでも十分きれいですが、撥水性のある特殊なコーティングを施すことで、汚れが付着するのを防きます。きれいな状態をより長く保つことができます。
すべての工程を終え、完了です。
お墓だけでなく、汚れで全体に黒ずんでいた土間コンクリートや踏み石もクリーニングできれいになりました!
金箔を貼り直したお墓です。平戸のお墓は、昔からこうした金箔をふんだんに使った、きらびやかで華やかな造りのお墓が多いのが特徴です。地域の伝統が感じられます。
棹石の一番上にある、大名墓の「傘」と呼ばれる部分です。隅々まできれいに金箔を貼り直しました。こちらのお墓は建立から60年~70年ほど経っており、彫刻の多くは手彫りでした。当時の職人さんの加工技術の高さには、本当に驚かされます。
こちらにも細かい立体的な彫刻があります。元の色と同じように彩色を施し、鮮やかに蘇りました。作業しながら、「これは一体どうやって作ったのかな…?」と感心する部分も多く、私たちも大変勉強になりました。
完成後お客様からは「こんなにきれいにしていただいて、家族も喜んでいると思います」と、大変嬉しいお言葉をかけてくださいました。作業中も何度か足を運んでくださり、暑い中での作業でしたので、飲み物を差し入れてくださるなど、お気遣いがとても嬉しかったです。本当にありがとうございました。日頃から毎月のようにお掃除されているそうでもともときれいなお墓でしたが、ご家族様を想うお気持ちに触れて、私たちも心を込めて作業させていただきました。これからも気持ちよくお参りいただければ幸いです。お墓のことでお手伝いできることがございましたら、またお気軽にお声かけくださいませ。